釘と屏風

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”釘と屏風”は3人組の文芸ユニットです

【雑記】図書館のすヽめ・後編ー村上春樹『海辺のカフカ』が懐かしく思い出される今日。(左部)

「書架には自由に入っていいよ。閲覧したい本があれば、そのまま閲覧室に持っていくことができる。ただし赤いシールがついている貴重な書籍については、その都度閲覧請求カードを書いてもらう。そちらの右手の資料室にはカード式の索引と、検索用のコンピュータがあるから、必要があったら自由に使っていい。本の貸し出しはしていない。雑誌と新聞は置いていない。カメラは禁止。コピーも禁止。飲食は庭のベンチで。閉館は5時」

(中略)

  ソファに腰かけてあたりを見まわしているうちに、その部屋こそが僕が長いあいだ探し求めていた場所であることに気づく。僕はまさにそういう、世界のくぼみのようなこっそりとした場所を探していたのだ。

村上春樹海辺のカフカ』新潮、2002

 

 

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

 

 

図書館のすすめ後編

(前編)

 

kugitobyoubu.hatenablog.com

 

・・・・・・図書館に住みたい。図書館が好きだ。まず天井が突き抜けてるのがいい。多くの場合、突き抜けてる。あと、何時間もダラダラ過ごしていても何も言われない。勉強できるスペースもある。飯も食える!

それから、子供たちが元気に走り回ってるのがいい。その光景を見て、微笑ましく大人の余裕をカマしてる俺カッケェってなれるのが良い。

さらに、司書の方々がみな優しい。私がこれまで通ってきた図書館の司書さんはいい人たちばかりだった。オススメの古本屋とか教えてもらったりする。よく分からんイベントに行くと声をかけてもらえたりする。だからどこの司書さんもいい人ばかりだと思いたい。学校を出てはじめてのGWは母校の図書館に行った。「他に行くところないの?」と言われた。ありません。

 

しかし、図書館に通い出すと分かるが大体通ってるのはいつメンだ。いつものメンツである。年間400日くらい通ってる私であれば100人単位でいつメンだと判断できる。

 

なので、普段図書館を利用しない皆さんにも図書館の良さを知ってもらいたいと思う。私の住む鹿児島市の図書館について、紹介していきたい。市外県外の人は、鹿児島市を訪れた際の参考にしてもらえれば幸いである。

 

鹿児島大学附属図書館

 

鹿児島は郡元にある図書館だ。鹿児島大学の中にあるが、一般の方も利用できる。小学生から老齢の方まで様々な層の人が利用している。市電工学部前駅から徒歩5分。

 

万が一図書館の場所が分からなかったら学生に聞こう。ある程度落ち着いた外見の方に声をかけるのがベターだ。大体は親切に教えてくれる。

受付に入ったら、まずはカウンターへ向かう。駅の改札みたいな機器があって、利用許可証を作る必要がある。1日利用券と無期限フリーパスがあるが、特に費用もかからないのでフリーパスをお勧めする。

館内へ入ると、まず目に入るのが、広間の展示だろう。大学のサークルの展示や、先生方の活動の記録なんかが展示してある。これが案外面白い。

2階から書架になる。勉強スペースもあるので、好きな本を手に取って席に着き、本を読もう。充電もできる。エレベーターもあるので、体力に自身の無い方や運動が嫌いな方は率先して使おう。

飽きたら2階の飲食スペースで飲み食いするのもいいし、鹿大の学食(土曜も昼間はやってる)に向かうのもいい。その辺の学生にオススメの学食メニューを尋ねてみるといいだろう。

さて、腹ごしらえも済ました後、図書館に戻る前に何かしたい、と思ったあなたはついている。鹿大の博物館に向かうといい。植物園を抜けた先にあるのだが、これがまた面白い。小綺麗な建物で尚且つ人も少ないのでゆっくりと楽しめるでしょう。

・・・鹿大附属図書館にしかない本として、古い雑誌なんかが挙げられる。

例えばこれ

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村上春樹群像新人賞を取った文芸誌は『群像』の号である。多くの図書館は、雑誌に関しては3〜5年の間で処分してしまう。収納するスペースにも限りがあるので仕方がない。このように30年以上前の雑誌が読めるのは、大学図書館の強みかもしれない。鹿児島の市立図書館や県立図書館は3年で廃棄になる。鹿児島でこれだけ古い雑誌が読めるのは、私の知る限り、各大学の附属図書館だけである。蔵書数は鹿大が最も多い。面白い雑誌が多々あるので漁ってみてほしい。

 

こちらから大学のMAPが見れる。参考にして欲しい。

https://www.kagoshima-u.ac.jp/about/campusmap.html#01

 

鹿児島市立図書館

 

鹿児島市立図書館である。市電郡元駅から徒歩10分。毎年6月頃に書庫の整理として配本をしているので、関心のある方は図書館に足を運んだ際に聞いてみるといい。結構いい本があったりする。

お世辞にも大きな図書館とは言えないが、文庫本はの冊数に関しては鹿児島の図書館としては随一ではないだろうか。子ども向けのイベントが多いのが印象的。朗読や映画の鑑賞会が頻繁に行われている。祝休日や長期の休み期間になると子どもたちの駆け回る声が聞こえるがもう慣れた。家族連れは過ごしやすい場所かもしれない。

2階には学習スペースもあるが、中高生も多く利用している。静かすぎないのが逆に良いのかもしれないと近頃は思う。

子どもが泣き出すのを気にして図書館に行けない方(そんな方がいるかは分からないが)是非とも利用してほしい。多分、利用者の多くは気にしないし、そのことでバツの悪い思いをするような環境ではない。

当然、度を過ぎた騒ぎを起こせば警備員さんに叱られることになるのだが。あくまでも市営、つまりは全ての人が平等に楽しむ権利を持っている。あなたの身勝手な行為が誰かに迷惑が及んでいるのかもしれない、と頭の隅に置いておこう。無料のようだが、税金で運営されている。私のような大の大人がごく一般的な本を片手にケラケラと笑い声を立てながら過ごすのはダメだろう。気味が悪い。事務所に連れていかれる可能性もゼロではない、私もいつも震えている。

 

ところで、本施設は渡り廊下を介して科学館にも行ける。大人は400円、子どもは150円。私も失業した頃はたまに足を運んでいた。平日の昼間にいけば人も少なく、私のように10年着古したジャージにクロックスを履いた20代半ばの男も親切に迎えてくれる。

係員さんがいないと利用できない体験コーナーがある。私は「こんなだらしない大人が子供向け施設を使う為に声なんて掛けちゃダメだろう」とそそくさと通り過ぎようとしたが、係の方が「良かったらどうですか」と声をかけてくださり、無事に「アフリカと北極の気温の違いを体験しようコーナー」を楽しむことが出来た。私より少し年長の女性だったが、逆の立場だったら私は声をかけないし率先して目を逸らすだろう。ありがとうございました。最近だと、携帯を館内に落としてその旨を告げると、館長さんが一緒に探してくれた。あの時の袖の無いジャージを履いた男が私です、ありがとうございました。

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HP

https://lib.kagoshima-city.jp

 

鹿児島県立図書館

 

私好みの新刊をよく仕入れてくれる図書館だ。つまり、他の方にとっても同様だと考えている。公共機関を使われる方は、市電「いづろ通り駅」で降りると良い。車のある方は車での来館を勧める。

入館する際、荷物をロッカーに預ける必要がある。100円硬貨(当然、帰ってきます)が必要なので用意しよう。車で来る場合は駐車出来る時間に限りがあるので注意が必要だ。声を大して言うことではないが、隣接する博物館・黎明館の駐車場は、黎明館、かごしま近代文学/メルヘン館、美術館を利用する人にも開放されている。特に利用する時間も限られていない。図書館を利用するついでに、駐車場に止めさせてもらい、それぞれの施設を見に行くのも手だ。私も良く使用させてもらっている。黎明館が閉館する時間には駐車場を使用できなくなるのでそこには注意しよう。

ところで私は、近代文学館と美術館で実習をしたことがある。学芸員の方は皆熱心だった。学校を出てはじめてのGWはこちらにも顔を出した。「他にいくところはないの!」と言われた。ありません。

黎明館・文学館/メルヘン館・美術館・図書館、それぞれ市民に向けた開かれた施設だ。無料のイベントも数多く、講座の料金も安い。時間があったら足を運んでみるといい。GWのイベントも多岐にわたる。

以下に核施設のHPを記載するので参照されたい。

 

黎明館

www.pref.kagoshima.jp


 

かごしま近代文学/メルヘン館

www.k-kb.or.jp

 

 鹿児島市立美術館

www.city.kagoshima.lg.jp

 

 

おわりに

いかがだったろうか。色々書いたが、図書館の印象に関しては結局どこも似ている。開かれているのだ。例えばそれが霧島市立図書館でも姶良市立図書館でも日置市立図書館でも同じだろうと思う。図書館は、ただ本が置いてあるばかりではなくそこには館長、事務員、ボランティア、司書など様々な方がいる。

もちろん、利用する方がいなければ成立しない。誰と会話するのも自由だ。奥手な私は図書館で知己を得たことはないが、そういった人もいるらしい。良く分からないが。他者とのコミュニケート、利害のない関係を結びたいと考える人は、イベントに参加してみるのもいいかもしれない。所詮は一過性の交流に過ぎないのかもしれない。しかし、ないよりましだろう。

上に書いた三館に共通するように、図書館の付近には文化施設が併設されていることも多い。楽しんでほしい。そしてイツメンになってほしい。100人のイツメンを見分けられるようになってほしい。

 

・・・・・・余談であるが、私は上の三館に加えて、志學館大学附属図書館、鹿児島国際大学附属図書館、姶良市立図書館、霧島市立図書館、長崎大学附属図書館、長崎市立図書館の利用者カードも持っている。自慢である。いずれは各都道府県の図書館の利用者カードを所有したいと目論んでいる(家の中を物色したが、上に挙げた内の半分は紛失していた)。

 

図書館はよいぞ。疲れたら、図書館に行って、本を読んだり眠ったり遊んだりしよう。帰った頃にはもっと疲れてる。そんな時は、次の日も行ったらいいじゃない。

 

ではでは。

 

文・左部右人