2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧
馬場広大「みかんの木」 港町へ出た。マルイチの前を通った。さっきまで奈々がレジを打っていた店だ。何のことはない、海と山を行ったり来たりしているだけだった。この島にはそれしかなかった。昔、映画の撮影に来た女優が「何もなくて退屈だ」と騒いだとき…
「書架には自由に入っていいよ。閲覧したい本があれば、そのまま閲覧室に持っていくことができる。ただし赤いシールがついている貴重な書籍については、その都度閲覧請求カードを書いてもらう。そちらの右手の資料室にはカード式の索引と、検索用のコンピュ…
ユリシーズの時代には、肉体が見事だというだけで英雄になれた。 だが現代では見事な肉体の持主は労働者になるか自衛隊に入るしかなくなってしまった。 そして、君臨しているのは貧弱な肉体とゆたかな頭脳を持ったインテリという種族である。病める叡智のな…
「西洋の本ですか、むずかしい事が書いてあるんでしょうね」 「なあに」 「じゃ何が書いてあるんです」 「そうですね。実はわたしにも、よく分からないんです」 「ホホホホ。それで御勉強なの」 「勉強じゃありません。只机の上へ、こう開けて、開いた所をい…
どうも、貝柱です。 名前には、メンバーを繋ぎとめる存在になりたい。そういう願いが込められています。 嘘です。 2019年1月20日に行われた「第三回京都文学フリマ」に行ってきたので、その記録を書きました。 ……随分と昔の事のように感じます。