釘と屏風

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”釘と屏風”は3人組の文芸ユニットです

【詩】左部右人「産声」ー『人間の肥やし』より

 左部右人「産声」ー『人間の肥やし』より

 

私ごとで恐縮ですが、この冬に詩集を編みました。何らかのテーマで編んだのは初です。というか、詩集を編んだのが初でした。某文学賞に応募する為に急遽制作したのですが、残念ながら候補に選ばれることはありませんでした。しかし、制作している間、「生きている!」という喜び、実感を覚えていたのは確かです。

 

と、言う訳でこの何処へも行き場のない悲しい詩集を以下のサイトにまとめてみました。本記事では、この詩集の最後尾を飾る「産声」を掲載致しますので、興味を持ってくださった方がいましたら、全文を参照してくださると幸いです。詩集の一遍、「環境」を詩の投稿サイトB-reviewに掲載してありますので、そちらのリンクも付記させていただきます。

 

リンク①詩集『人間の肥やし』ー投稿サイト「カクヨム」に掲載

kakuyomu.jp

 

リンク②詩集『人間の肥やし』より「環境」-詩の投稿サイト「B-review」に掲載

www.breview.org

 

では、次に①『人間の肥やし』の「目次」②「産声」全文を掲載させていただきます。

 

目次

 

『人間の肥やし』

 

人間の肥やし

反逆

機会

スマートフォンを捨てた唄

しらばっくれんじゃねえよ

選別

環境

畜生は望遠鏡を覗いた

一月の冷笑

トイレットペーパーくらいには役に立ちたかった

私のついた嘘とか

火山

産声

(以上13編)

おわりに 

  

産声

 

左部右人「産声」2019.1.2

 

百点の人生を生きて欲しいと、

誰もが願った。

生きてみると、

百点からは程遠く、

及第点かどうかさえも、

疑わしい。

 

七十点はあったであろう、

幼少期

友人のおもちゃを壊して、

減点された。

(壊していないと言い張ったので厳しく指導された)

 

五十点はあったであろう、

少年期

親しい人の期待に背き、

減点された。

(どうやら親は子を選べないらしいので、私はきつく自分を罰した)

 

三十点もなかったであろう

青年期

人に言われたことを実行できないようで、

減点された。

(「言っちゃいけないことを言っちゃいそうだわ」、「人としてどうかと思うぜ」と私を評価する人たちに言われたので、どうやらそういうことらしい)

 

限りなく零点に近い、

現在

今日も酒が抜けずに目を覚まし、

誰かにひどいことを言ったのではないかと、

びくびくと怯えている。

 

産声をあげた頃、私を産んだ人たちは、

零点でもいいから、力強く生きて欲しいと、

命の誕生を、

祝ったらしい。

 

埃を被ったその事実が、

小さな一を私に足した

 

 

以上、簡単な活動報告でした。

ではでは。ご拝読いただき、ありがとうございました。

 

 

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